book

佐内正史『度九層』

佐内正史さんの写真集『度九層』を購入しました。

スナップショットの既視感。1枚の写真に込められた無言の重厚感。

佐内正史写真展を見にtsugiさんへ

清川のtsugiさんで佐内さんの写真展が開催されていたので、立ち寄ってみました。


※埋め込みがめちゃくちゃ長くなってしまいました汗

佐内正史さんについて

佐内さんといえば、独学で写真を始め写真新世紀優秀賞や木村伊兵衛写真賞を受賞し、現在も独特の感性の写真で活躍されていることで有名です。

私の印象だと、色味が少なくモノクロ写真のような風合いのある、画角の広い写真を思い浮かべます。
画角が広いとそれに伴い入ってくる情報量も多いはずですが、バチっと決まって狙ったものではなく、型にはまらない風景写真が一旦思考をリセットさせ、再びどこかに意味を持ちたくなるような写真を撮る写真家だと勝手に思っています。
なので結果、1枚の写真に込められた無言の重厚感が大きい。

1968年 静岡県静岡市出身。写真家。24歳で写真を始める。95年、第12回キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。97年に写真集『生きている』(青幻舎)でデビュー。02年『MAP』で第28回木村伊兵衛写真賞受賞。CMをはじめとした映像にもその活動を展開。映画『ジョゼと虎と魚たち』では劇中使用写真を担当。ロックバンド、くるりのアルバムジャケット写真も手がけている。― shashashaより

オフィシャルサイト

ちなみにwikipediaによると卓球さんとは小学校の同級生だそうです。まじで笑

『度九層』とは

最近では中村一義とのコラボレーションの話題をよく見かけますが、この写真集もその一環として生まれた作品だそう。
タイトルの「度九層」は「怒九想」から来ているそうですが、どちらもすんなり読めないしなんのことだろ?と調べてみました。

く‐そう〔‐サウ〕【九想/九相】 の解説
仏語。人の死体がしだいに腐敗し、鳥獣に食われ、白骨となり、最後に焼かれて土に帰するまでの九段階を思い浮かべる観想。肉体に執着する心を除くために行う。

ちょっとよくわかりませんでした。

本書は佐内正史が主宰する独自レーベル「対照」とマッチアンドカンパニーこと町口覚が再び協力して製作をする写真集シリーズ。書籍のサイズ、表紙の白のシンプルなデザイン、32葉の写真、64頁、全く同じレイアウトで今後引き続き出版されるシリーズの第3弾。数年かけて10冊を出版する予定である。本書はミュージシャン、中村一義のアルバム「対音楽」とのコラボレーションで誕生した写真集。タイトルの「度九層」は、「対音楽」の原題として構想されていたタイトル「怒九想」から転じて名づけられたそう。写真と音楽という言葉では言い表す事のできない難解さがここにはある。― 二手舎より

スナップショットの既視感

『度九層』は日常を撮りためたスナップショット集です。
写真集って写真家の視点そのもので、その人の視点に立って世界を見てみるととても既視感があったり、あるいは自分と全く違ったりして楽しい。
佐内さんの写真は前者のほうで、自分にはとても馴染みがよいので好きです。

『度九層』でもっとも好きな1枚

このなんでもないような河川敷に妙に惹かれてこの写真集を手に入れました。
なんの主張もなく、川と空が遠くでつながる果てしなさ。
静寂な風景に吸い込まれてしまいそうで、ずっと見ていたい1枚でした。

情報

ブックデザイン:町口覚
出版社:対照+マッチアンドカンパニー
判型:290x257mm
頁数:64頁
写真作品:32点
製本:ソフトカバー
付属品:スリップケース
発行年:2012年
エディション:限定700部ナンバー入り
M label No.23